なぜクラウドファンディングで止まってしまうのか?
「クラウドファンディングは達成したのに、その先が続かない」。輸入総代理の相談で、かなり多く聞く話です。
理由はシンプルで、だいたい次の3つに集まります。
- 在庫を持ちたくない。クラウドファンディングは支援者から先に代金を受け取るので、在庫リスクを抱えずに売れます
- 広告運用やECで売上を伸ばした経験がない。一般販売に必要なスキルが社内にありません
- そもそも一般販売まで想定していない。契約を取ってクラウドファンディングを回すところまでが計画になっています
この3つが重なると、独占販売権を持ちながらクラウドファンディングだけを繰り返す形になります。案件ごとに数百万円の売上は立ちますが、終われば次の商品を探すところに戻る。事業として積み上がっていきません。
僕はこの状態を、非常にもったいないと思っています。独占販売権は「日本で売れるのはうちだけ」という土俵を作るためのものです。テスト販売で終わらせるために取るものではありません。(クラウドファンディングの位置づけについてはクラウドファンディングをテスト販売として使う記事で詳しく書いています)
メーカーから見て、その後を売らない代理店はどう映るか?
ここは見落とされがちですが、かなり大事です。海外メーカーは、日本の代理店の動きをよく見ています。
当社に、こんな相談が来たことがあります。前のモデルが日本のクラウドファンディングで1,000万円を超えた商品の、次の世代の話でした。日本にはすでに代理店がいます。それでもメーカー側は「代理店はいるが、その後が動いていない」という不満を持っていて、乗り換えを検討していたわけです。
メーカーが見ているのは、クラウドファンディング当日の瞬間的な数字ではありません。その後どれだけ日本市場に定着したか、店頭に並んだか、リピートが起きたか。ここが動かないと、独占を渡した意味がなくなります。
逆に言うと、これは交渉のチャンスでもあります。日本の代理店はひとくくりで見られることがあり、「クラウドファンディングだけやって終わる相手」という印象を持たれている場合すらあります。だからこそ、その先の販売計画まで示せる会社は信頼されます。当社が現在8社の海外メーカーと独占販売契約を結べている理由のひとつも、ここにあると考えています。(アメリカ、香港、中国、台湾、イギリス、韓国の6つの国と地域)
交渉の場で何を見られているかは、独占販売権の取り方をまとめた記事もあわせてご覧ください。
需要が確認できているのに売れないのは、なぜ起きるのか?
もうひとつ、実際にあった話です。
海外のクラウドファンディングではしっかり売れていた商品を、日本で実施したときのことです。目標金額を1,000万円に設定し、目標に届かなければ1円も受け取れないAll-or-Nothing方式で走りました。結果は、70人ほどの支援者から約400万円。目標未達で不成立です。支援者にお金は返り、商品は日本市場に出ませんでした。
ここで注目してほしいのは、400万円分の需要は確かに存在していたという事実です。単価が高い商材で70人が申し込んでいる。売れない商品ではありません。売る場所と売り方の設計が、目標設定と噛み合っていなかっただけです。
目標金額の置き方には正解がなく、最低ロットの仕入れ金額から逆算する考え方もあります。ただ、達成できなければ需要そのものがなかったことにされてしまうのがAll-or-Nothingです。400万円集まったという事実を持って、別の売り方に切り替えられる設計にしておけば、結果は変わっていたはずです。
売れないのか、売る術がないのか。ここは分けて考える必要があります。輸入総代理でつまずくケースの多くは、後者です。
一般販売に移るとき、最初の壁はどこにあるか?
ここからは当社自身の話をします。自社ブランドのSOULITEでクラウドファンディングから一般販売に移したとき、実際に何で苦労したかです。
ECストアの構築は、もう壁ではない
最初に時間がかかったのは、自社ECストアの構築でした。Shopifyでストアを立ち上げ、商品ページを作り、決済や配送の設定を入れる。ここに相応の時間を使いました。
ただ、正直に言うと、ここは今からやる会社には壁になりません。AIを使えばストアの構築も商品ページの文章もほぼ一瞬で形になります。数年前と比べて、参入の手間が最も軽くなった部分です。
本当のハードルは広告運用と集客
実際に一番高かったのは、広告運用と集客、そしてその最適化です。ここは今も変わりません。
クラウドファンディングを終えた時点で手元にあるのは、支援者のデータだけです。件数としては多くありません。つまり、誰にどう伝えれば買ってもらえるのかが、ほとんど分からない状態から一般販売が始まります。商品の良さは分かっている。でも、その良さが刺さる相手が誰なのかは、まだ手元にない。ここが実際のスタート地点です。
売れ筋と勝ち筋は、どうやって見つけるのか?
当社が最初にやったのは、とにかくデータを集めることでした。探していたのは次の4つです。
- どの層に届くのか。年齢や性別、興味関心のどこに反応が出るのか
- どの訴求が刺さるのか。同じ商品でも、伝える切り口によって反応がまるで変わります
- どれが売れ筋商品なのか。取り扱いが複数あるなら、売上の中心になる商品は早めに見極めたい
- その商品が、なぜ支持されているのか。理由が分かると、次の商品選びと訴求に使えます
この4つが見えるまでの期間は、広告費を「売上を作るための費用」ではなく「データを買う費用」と考えたほうが判断を誤りません。少額で複数の訴求を同時に試し、反応が出た方向に寄せていく。最初から当てにいくと、外れたときに何が悪かったのか分からなくなります。
そしてこの探り方は、自社ECだからできることでもあります。モールに出すだけでは、誰が買ったのかというデータが自社に残りません。売るたびに顧客リストが積み上がる形にしておくと、2つ目の商品を出すときの初速がまったく変わります。(この考え方は自社ECと独占契約で作るリスト資産の記事で詳しく書いています)
クラウドファンディングの、その先まで一緒に設計します
独占契約は取れたが一般販売で伸び悩んでいる、これから始めるので販売まで含めて計画したい。どちらの段階でもご相談ください。自社でも輸入総代理事業を運営するSOLXIAが、販路と広告の設計からお答えします。
無料相談してみる販路はどの順番で広げるのが現実的か?
順番は、クラウドファンディング、自社EC、そのあとに卸や小売、法人向けです。この順番には理由があります。
自社ECを先に固めるのは、データと顧客リストが自社に残るからです。どの訴求で売れるのかを自分の手で掴んでおくと、そのあとの交渉材料になります。「この商品は日本でこういう層に、この理由で売れています」と数字で言える会社と、言えない会社では、卸先の反応が変わります。
逆に、自社ECより先に卸へ流すと、店頭価格の主導権を持ちにくくなります。安く卸した先が値下げすれば、自社ECの価格が上から抑えられます。一度崩れた価格を戻すのは簡単ではありません。
卸や小売は利益率が下がる代わりに、量とブランドの露出が取れます。自社ECで型が見えてから動くと、条件の交渉もしやすくなります。展示会への出展やポップアップも、この段階に入ってからのほうが成果につながります。
契約前に決めておくことは何か?
ここまでの話をひっくり返すと、一般販売の設計は契約前から始まっているということになります。契約の段階で確認しておきたいのは次の4点です。
- 卸価格の余白。仕入れ値が高すぎると、後から卸や小売に出す価格が作れません。自社ECの価格だけで成立していても、販路を広げる余地がない状態になります
- 在庫と物流。保管と発送を誰がやるのかを決めておきます。当社は外部の倉庫サービスを使っています。自社で抱えるより、最初は外に出したほうが動きが軽くなります
- 広告のテスト予算。一般販売の初期は、データを集める期間の費用が必ず要ります。ここを見込まずに仕入れだけで資金を使い切ると、商品はあるのに売る手段がない状態になります
- 最低ロットと資金の上限。飲めるロットかどうかは、交渉テクニックではなく自社の資金上限から逆算して決める話です
資金の組み立て方は輸入総代理の必要資金の記事、価格の余白を含めた商材の見極めは輸入代理店の商材の選び方で詳しく解説しています。契約前に潰しておくリスクの全体像はリスク管理の記事にまとめました。
実例:クラウドファンディングの先まで設計した会社
当社が支援する会社でも、クラウドファンディングの数字が出た後に手が止まるかどうかで、その後の伸びが大きく分かれます。差がつくのは商品の良し悪しよりも、一般販売の準備をいつ始めたかです。
そのひとつ、株式会社Liberte様は、支援開始から約1ヶ月で海外メーカー7社と独占販売契約を締結し、クラウドファンディングは2件で累計1,100万円を超えました。ここで止まらず自社ECへ移り、1ヶ月目に売上160万円・営業利益78万円(利益率48%)、6ヶ月目には売上269万円・営業利益146万円(利益率54%)まで伸びています。最終的にはEC運営7ヶ月目に事業売却が完了し、売却益は1,400万円でした。
クラウドファンディングで終わっていたら、売却できる事業にはなっていません。買い手が評価するのは、独占販売権と、継続して売れている実績と、顧客リストです。詳しくは支援実績のページをご覧ください。
よくある質問
クラウドファンディングをやらずに、一般販売から始めてもいいですか?
始められます。ただしクラウドファンディングには、在庫を仕入れる前に需要を確かめられる利点と、初期の顧客データが手に入る利点があります。いきなり在庫を積んで一般販売に入ると、売れなかったときの損失がそのまま残ります。テストの手段として使い、その後の販売設計を先に決めておくのが現実的です。
在庫を持たずに輸入総代理を進める方法はありますか?
クラウドファンディングの期間中は支援者から先に代金を受け取るため、在庫リスクを抑えられます。ただし一般販売では、注文から発送までの時間を短くするために一定の在庫が必要になります。最初の仕入れ数量は、資金の上限から逆算して決めてください。
一般販売の広告費は、いくらから始めればいいですか?
金額の正解は商材の価格帯や粗利によって変わります。判断の軸は、1件の販売で残る粗利に対していくらまで広告費を使えるかという許容獲得単価です。最初はデータを集める期間と割り切り、少額で複数の訴求を試して反応の出た方向に寄せていく進め方が無理がありません。
卸や小売への展開は、いつから動けばいいですか?
自社ECで売れ方の型が見えてからをおすすめします。先に卸へ流すと店頭価格の主導権を持ちにくくなり、自社ECの価格が上から抑えられます。まず自社で売り方を固め、その実績を持って卸や小売の商談に入る順番のほうが条件を作りやすくなります。
まとめ:独占販売権は、売り続けて初めて価値になる
この記事の要点です。
- クラウドファンディングは需要を確かめるテスト販売。事業の完成形ではない
- 止まる理由は、在庫を持ちたくない、広告とECの経験がない、最初から一般販売を想定していないの3つ
- メーカーはクラウドファンディング当日の数字ではなく、その後の定着を見ている。乗り換えを検討されることもある
- 需要があるのに売れない例は実際にある。売れないのか、売る術がないのかは分けて考える
- 一般販売の壁はストア構築ではなく、広告運用とターゲティングのデータ集め
- 販路の順番は自社ECが先、卸や小売は型が見えてから。逆にすると価格の主導権を失う
- 卸価格の余白、在庫と物流、広告のテスト予算、ロットと資金上限は契約前に決めておく
独占販売権を取った時点では、まだ何も売れていません。価値になるのは、その権利を使って売り続けた実績のほうです。クラウドファンディングで数字が出たなら、需要があることはもう確認できています。あとは売る手段を用意するだけです。
売る手段まで含めて、事業として組み立てます
SOLXIAは自社でも海外メーカー8社と独占販売契約を結び、クラウドファンディングから自社EC、広告運用まで自分たちで回しています。いま止まっている工程がどこかを伺い、次の一手を無料でご提案します。
無料相談してみる