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新規事業は、兼務でも立ち上がるのか
1日1時間で年間8社と独占契約を結んだ実例から考える

2026.08.23

新規事業輸入総代理
新規事業は兼務でも立ち上がる。中心の仕事は作業ではなく意思決定

「専任を置ける余裕はない。それでも新規事業はできますか」。企業の新規事業のご相談で、ほぼ毎回いただく質問です。結論から言うと、輸入総代理モデルに関しては、兼務でも立ち上がります。担当者の中心の仕事が、作業ではなく意思決定だからです。実際に、企業の新規事業担当者が他部署と兼務のまま、1日1時間未満の時間で年間8社と独占販売契約を結んだ例があります。この記事では、その時間が何に使われていたのか、兼務の新規事業が本当に詰まるのはどこか、専任に切り替えるタイミングはいつかを、累計60社以上(2026年8月時点)の立ち上げを支援してきたSOLXIAが解説します。

なぜ「専任がいないと無理」とは言えないのか?

新規事業の立ち上げというと、専任チームを組んで、予算を確保して、腰を据えて取り組むものというイメージがあります。だから多くの会社で「人を割けないから」という理由で話が止まります。

ただ、この前提はビジネスモデルによって変わります。輸入総代理は、担当者の中心の仕事が意思決定である事業です。海外メーカーの商品の独占販売権を獲得し、日本市場で販売する。この流れの中で毎日手を動かし続ける工程は、実はそれほど多くありません。

メーカーを探す。アプローチの連絡を送る。商談する。契約条件を詰める。テスト販売する。どの工程も「やるかやらないか、どの条件なら進めるか」を決めることが本体で、決めたあとの作業は型ができていれば短時間で済みますし、外部に任せられる部分も多い。ここが、営業や製造のように毎日の稼働量が成果に直結する仕事との大きな違いです。

言い換えると、兼務で立ち上げられるかどうかは「時間を何時間割けるか」ではなく「決める役割を果たせるか」で考えたほうが実態に合います。輸入総代理というモデル自体の説明は中小企業の新規事業に「輸入総代理」という選択肢にまとめているので、初めての方はそちらからどうぞ。

兼務の新規事業が失敗する本当の理由は何か?

では、兼務の新規事業がうまくいかないケースは何に詰まっているのか。僕の見てきた範囲では、時間不足そのものが直接の死因になることは少ないです。詰まるのは、だいたい次の2つです。

意思決定が遅れて、機会ごと消える

独占販売権は、椅子が1つしかない椅子取りゲームです。日本の販売パートナーを探しているメーカーには、他の会社からもアプローチが来ています。こちらの返事が1週間止まっている間に、他社と契約がまとまってしまう。これは実際に起きます。

兼務の担当者が悪いのではありません。「この条件で進めていいか」を上に確認するたびに数日かかる決裁の流れが、そのまま機会損失になるんですよね。作業の遅れは取り戻せますが、取られた独占権は取り戻せません。

優先度が下がり続けて、自然消滅する

もうひとつは、本業が忙しくなった瞬間に新規事業が後回しになり、そのままフェードアウトするパターンです。誰かが決めたわけでもなく、いつの間にか止まっている。撤退の判断すらされていないので、学びも残りません。

この2つはどちらも、時間を増やせば解決する問題ではありません。決める速さと、続ける仕組みの問題です。だからこそ、少ない時間でも設計次第で立ち上がるし、逆にフルタイムの担当者を置いても決裁が遅い会社では立ち上がらない。新規事業が止まるパターンの全体像は中小企業の新規事業が失敗する7つの理由で詳しく書いています。

実例:1日1時間の兼務で、年間8社と独占契約

支援先に共通するのは、始める前は皆さん「本当にこの時間で回るのか」と半信半疑だということです。ここでは、数字がはっきり残っている例をひとつ紹介します。

複数のEC事業を持つ物販企業で、新規事業のひとつとして輸入総代理に取り組んだケースです。担当者は他の業務との掛け持ちで、この事業に使えた時間は1日1時間あるかないか。チームは4名ほどいましたが、指揮を執る担当者の稼働はその程度でした。

その体制で、1年間で8社の海外メーカーと独占販売契約を結びました。しかも全件がオンライン完結です。海外の展示会には一度も行かず、メーカーと直接会うこともなく、リサーチからアプローチ、商談、契約まですべてオフィスから進めています。テスト販売として実施したクラウドファンディングでは、1商品で約2,500万円の支援が集まりました。

なお、この担当者は現在、当社のコンサルタントとして支援側に回っています。企業の中で兼務のまま立ち上げた経験者が言う「1日1時間で足りる」なので、外から見た理想論ではなく、当事者の実測値です。

規模は違いますが、限られた時間での立ち上げという意味では、本業のかたわら1年半で3社と独占契約を結んだ支援先の例もあります。時間の多さと契約数は、思われているほど比例しません。

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「専任は置けないが、新規事業は作りたい」という段階のご相談を歓迎しています。御社が割ける時間と決裁の流れを伺ったうえで、兼務で回る進め方になるかどうかを率直にお伝えします。

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なぜ輸入総代理は少ない時間で回るのか?

1日1時間で回る理由は、根性でも要領の良さでもなく、事業の性質にあります。分解すると3つです。

在庫を抱えず、売れてから発注する

テスト販売はクラウドファンディングで行い、売れた分だけメーカーに発注します。先にまとまった仕入れをしないので、在庫管理や資金繰りに日々追われることがありません。管理する対象が少なければ、使う時間も少なくて済みます。

移動時間がゼロで済む

メーカー探しは海外のECサイトやSNS、YouTubeで足ります。商談はオンラインです。海外出張が前提の事業だと、移動だけで兼務は破綻しますが、この事業は机の上で完結させられます。ちなみに国内の展示会に海外メーカーが出展しているケースも狙い目で、日本進出に意欲的なメーカーとその場で話せます。英語の不安については海外メーカーとの交渉に英語力はどこまで必要かで書いたとおり、流暢さより提案の中身です。

作業は外に出せて、判断だけが残る

クラウドファンディングのページ制作は外注で5〜8万円ほど。商談の通訳は1回3,000〜5,000円ほどで手配できます。金額は時期や依頼先で変わりますが、いずれも大きな固定費にはなりません。作業を外に出していくと、担当者の手元に残るのは「どのメーカーに絞るか」「この条件を飲むか」「広告にいくら使うか」という判断だけになります。これが1日1時間の中身です。かかる費用の全体像は輸入総代理の立ち上げに必要な資金にまとめています。

兼務の1年間は、何をどの順番で進めるのか?

時間配分のイメージが湧くように、標準的な1年の流れを書いておきます。無理のないペースとして、僕らは1年で3ブランドの独占契約を一つの目安にしています。先ほどの年間8社はかなり攻めた数字で、最初からそこを狙う必要はありません。

最初の3ヶ月は、リサーチとアプローチが中心です。どのジャンルを狙うかの基準を決め、候補メーカーをリストにして、連絡を送る。この時期の日々の作業は、送った連絡への返信対応と、商談の日程調整くらいです。

商談が始まると、1件あたり1時間ほどのオンライン商談が週に数回入る時期があります。ここが一番時間を使う山場ですが、それでも週数時間の世界です。契約条件がまとまったら、契約書のやり取りを経て独占販売権を獲得します。取り方の全体像は海外メーカーの独占販売権の取得方法にまとめています。

契約後はテスト販売の準備です。ページ制作を外注し、広告を回し、クラウドファンディングで市場の反応を見る。ここまでで1商品あたり30〜50万円ほどの販促予算が目安です。売れ行きが確認できたら、一般販売にどう移すかの判断に進みます。

注意点をひとつ。この事業は、仕入れて売るだけの物販と違って、翌月から売上が立つモデルではありません。契約獲得までに数ヶ月の助走が要ります。兼務で進めるなら、この助走期間を「成果が出ていない」と誤読されない社内説明も、担当者の仕事のうちです。

時間より大事な「決める速さ」をどう確保するか?

ここまでで、時間は思ったより要らないことを書きました。代わりに絶対に確保したいのが、決める速さです。具体的には2つの設計をおすすめしています。

ひとつは、担当者がその場で決められる範囲を先に決めておくことです。たとえば「販促予算は1商品50万円まで、契約条件はロット数がこの範囲までなら担当者判断で進めてよい」と先に線を引いておく。メーカーとの商談中に「社に持ち帰ります」を減らせるだけで、契約の成功率は目に見えて変わります。

もうひとつは、決裁者との接点を定例化することです。案件が動いてから会議を設定するのではなく、週1回15分でも「いま動いている案件の判断だけする時間」を先に押さえておく。稟議書を回すより、この15分のほうが速いことが多いです。

ご相談のなかでは「社内の新規事業として始めるか、経営者の個人出資で始めるか」を迷われるケースもよくあります。会社の看板が使えたほうが大きなメーカーには届きやすい一方で、意思決定の速さでは個人出資に分があります。どちらが正解ということはなく、見せ方で信用は補えるので、決める速さを確保できるほうを選ぶのが僕の考えです。

兼務からメイン事業に切り替えるのはいつか?

兼務で始めた事業を、いつ専任化するか。統一された基準はありませんが、判断材料は2つあると思っています。

1つ目は、テスト販売で需要が確認できた商品を複数持てたかです。1商品の成功はまぐれの可能性がありますが、2つ3つと再現できたなら、それは型ができたということです。型があるなら、人と予算を足せば伸びます。

2つ目は、担当者の時間の中身が変わったかです。立ち上げ期の仕事は判断が中心ですが、一般販売が始まると、受注処理や在庫の発注、広告の運用といった日々の運営作業が増えてきます。時間が判断ではなく運営で埋まり始めたら、それは事業が動いている証拠で、人を割り当てる検討のタイミングです。

逆に言うと、それまでは焦って体制を大きくする必要はありません。小さく始めて、数字で確認してから広げる。兼務スタートは妥協ではなく、投資判断を段階的にできる合理的な形だと僕は考えています。

よくある質問

新規事業に専任の担当者は必要ですか?

輸入総代理モデルに関しては、立ち上げ期の専任者は必須ではありません。担当者の中心の仕事が、リサーチや交渉の作業そのものではなく、どのメーカーに絞るか、いくらまで投じるかという意思決定だからです。実際に、他部署と兼務の担当者が1日1時間未満の時間で年間8社と独占販売契約を結んだ例があります。

兼務の新規事業が失敗するのは、時間が足りないからですか?

時間不足そのものより、意思決定が遅れることが失敗の主因になりやすいです。独占販売権は1つの枠を複数社で取り合うため、返事が1週間遅れるだけで他社に決まることがあります。作業時間を増やすより、担当者がその場で判断できる範囲をあらかじめ決めておくことが効きます。

海外の展示会に行く時間が取れなくても契約できますか?

できます。海外のECサイトやSNS、YouTubeでメーカーを探し、メールでアプローチし、オンライン商談で契約まで進める形が現在は主流です。当社の支援先でも、一度もメーカーと直接会わずに独占販売契約を結んだ例が多くあります。国内の展示会に出展している海外メーカーを狙う方法もあります。

兼務からメイン事業に切り替えるタイミングの目安はありますか?

統一された基準はありませんが、判断材料は2つあります。テスト販売で需要が確認できた商品を複数持てたか、そして担当者の時間が意思決定ではなく日々の運営作業で埋まり始めたかです。運営作業が増えるのは事業が動いている証拠なので、そこが人を割り当てる検討のタイミングになります。

まとめ:割ける時間ではなく、決められる体制で判断する

  • 輸入総代理は担当者の中心の仕事が意思決定なので、兼務でも立ち上がる
  • 実例として、1日1時間未満の兼務で年間8社と独占契約を結んだ企業担当者がいる。全件オンライン完結
  • 兼務の新規事業が詰まる主因は時間不足ではなく、意思決定の遅れと優先度の自然低下
  • 在庫を持たない、移動しない、作業は外注する。この3つで担当者の時間は判断だけに絞れる
  • 担当者がその場で決められる範囲を先に決め、決裁者との15分定例を押さえる
  • 需要が確認できた商品が複数でき、時間が運営作業で埋まり始めたら専任化を検討する

「人を割けないから新規事業は無理」という判断は、フルタイムの専任者が要る前提に立っています。その前提が当てはまらない事業モデルを選べば、いまの体制のまま始められます。始めてみて数字で確認し、育ってきたら人を付ける。その順番のほうが、会社にとってもリスクの小さい進め方だと僕は思います。

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