ホームコラム > 歯科医院の広告の見直し方

歯科医院の広告の見直し方
手応えがないときに点検する5つのポイント

2026.09.20

クリニック経営集患
広告費がどこへ流れているかを点検する

「広告は出しているんですが、正直、効いている気がしなくて」。歯科医院の院長から、かなりの頻度でいただく相談です。先に結論を言います。手応えがないときに最初にやることは、広告を止めることでも予算を増やすことでもなく、いま出ている広告の中身を見ることです。実際に広告アカウントを開けてみると、広告そのものがまったく効いていないというケースはそれほど多くありません。多くは、広告費の一部が成果につながらない場所に流れていて、その分だけ全体の手応えが薄まっているだけだったりします。この記事では、歯科医院の広告運用を自ら行い、外部業者に任せている医院の運用状況の確認も行っているSOLXIAが、手応えがないときに見るべき5つの点検ポイントと、点検が終わったあとに何から直すかを、実際の順番どおりに解説します。

なぜ「広告は出しているのに手応えがない」が起きるのか?

理由はシンプルで、院長には管理画面を見る時間も、読み方を覚える時間もないからです。診療の合間に広告の用語を学ぶのは現実的ではありません。運用を任せていればレポートは毎月届きますが、そこに並んだ数字が良いのか悪いのかを判断する材料が手元にない。だから「効いている気がしない」という感覚だけが残ります。

この状態が続くと、選択肢が2つに絞られてしまいます。思い切って止めるか、もっと予算を増やしてみるか。どちらも、いま何が起きているか分からないまま動く判断です。止めれば当然、問い合わせは減ります。増やせば、効いていない部分にも一緒に予算が乗ります。どちらに転んでも、手応えのなさは解消されません。

ただ、実際に広告費の中身を分解してみると、見え方がガラッと変わります。ひとかたまりに見えていた広告費が、成果が出ている部分と、出ていない部分にはっきり分かれている。これがかなり多いんですよね。合計金額と合計のコンバージョン(CV)数だけを見ていると、この差が平均でならされて見えなくなります。「効いている気がしない」の正体は、効いていない部分に引っ張られた平均値を見ている、ということだったりします。

広告の点検とは、何を見る作業か?

まず言葉を揃えておきます。広告の点検(第三者診断)とは、いま出稿している広告アカウントとホームページの数字を、運用している会社とは別の立場から確認し、広告費がどこに流れ、どこで止まっているかを明らかにする作業のことです。

ここで大事なのは、乗り換えありきの作業ではないという点です。目的は、いまの運用会社の良し悪しを裁くことではなく、広告費の配分を確かめること。点検した結果、「配信の中身は問題ないので、計測だけ直せばいい」で終わることもあります。実際、そのほうがクリニックにとっては手間もお金もかかりません。

当社が歯科医院からご相談をいただいたとき、提案の前に必ず行っているのもこの点検です。いきなり運用のお見積りを出すのではなく、いま出ているものを見せていただいて、どこに費用が流れているかを整理する。ここを飛ばして提案すると、結局は「新しい会社に変えてみる」以上の話にならないからです。

次の章から、実際に見ている5つのポイントを順番に説明していきます。専門的に聞こえるかもしれませんが、院長側で理解しておくべきなのは「何を見るか」までで十分です。手を動かす部分は運用側の仕事なので、そこは任せてしまって構いません。

点検1:成果の計測は生きているか?

僕が最初に確認するのは、成果を数える仕組みが動いているかどうかです。ここがすべての前提になります。

Web広告では、電話ボタンのタップや予約フォームの完了を数えるために、ホームページ側にコンバージョン計測タグという仕掛けを入れます。これが入っていなければ、広告がどれだけクリックされても、そこから予約が起きたのかどうかは記録されません。計測がない期間のクリックは、あとから検証しようのない数字として消えていきます。費用だけが確定して、成果が確定しない状態です。

そんなことあるのかと思われるかもしれませんが、実際の診断では珍しくありません。典型的なのは2つで、「途中まで計測タグが入っていなかった」というものと、「タグは入っているが、予約完了のページを数えていなかった」というものです。後者はレポート上に数字が並ぶので、一見すると正常に見えます。中身を開けると、数えていたのは別のページの表示回数だった、ということが起こります。

この状態でとくに費用が溶けやすいのが、自動配信型のメニューです。GoogleのP-MAX(パフォーマンス最大化)は、成果のデータを学習して配信先を自動で調整していく仕組みなので、成果が記録されていなければ学習の材料がありません。材料がないまま、予算だけは設定どおりに消化されていきます。手応えがないのに費用は毎月きっちり使い切られている、という場合は、ここを疑う価値があります。

なお、計測が正常に動いていたとしても、管理画面のCV数がそのまま来院数になるわけではありません。空タップや既存患者さんの操作も混ざるからです。このズレについては歯科医院の広告の効果測定で詳しく書いたので、ここでは深追いしません。まずは「数えられているか」だけ確認してください。

点検2:広告費はどの配信先に流れているか?

次に見るのが、キャンペーン別の内訳です。ここが、手応えのなさの正体がいちばんはっきり出る場所だと僕は思っています。

ひとくちにWeb広告と言っても、中身はいくつかの配信先に分かれています。検索結果に出る検索広告、他のサイトやアプリの枠に出るディスプレイ広告、動画の前後に出る動画広告、それらをまとめて自動で配信するP-MAX。この4つは、歯科の予約につながる度合いがまったく違います。にもかかわらず、レポートに合計値しか載っていないと、その違いが見えません。

表示だけ増えている配信先はないか

ディスプレイや動画は、表示回数が大きく出ます。数万回、場合によっては数十万回という数字が並ぶので、レポートの見栄えはかなり良くなります。ただ、歯科医院の予約は、検索から生まれることが多いです。「歯が痛い」「矯正 相談」と自分で調べた人が、そのまま予約に進むからです。

実際の診断では、数万回表示されてクリックは数十、予約はゼロという配信先が、毎月の予算を一定額食べているという状態を見かけます。表示回数という数字だけを見れば仕事をしているように見えるので、問題として認識されないまま続いてしまう。ここは金額を出して確認する価値があります。

効いている配信を、予算不足で止めていないか

逆のパターンもあります。検索広告はきちんと成果が出ているのに、1日の予算上限に当たってしまい、表示できるはずの機会を取りこぼしているケースです。管理画面では「予算による損失」といった項目で、どれくらい取りこぼしているかを見ることができます。

この2つが同時に起きていると、もったいない状態です。効いていない配信先を止めて、その分を効いている検索広告に回すだけで、広告費の総額を増やさずに問い合わせ件数が伸びる余地が残っていることになります。予算を増やす相談の前に、まずここを確認したいところです。

点検3:クリックされた後、ページで何が起きているか?

3つ目は、広告の外側です。クリックしてもらえているのに予約にならないなら、原因は広告ではなく、着地したページ側にあります。

見方としては、GA4などのアクセス解析で、広告経由の訪問だけを切り出します。そのうえで、滞在時間とページ内の動きを確認する。ここでサイト全体の平均より広告経由の滞在時間が明らかに短いなら、広告で伝えている内容と、着地ページの中身が合っていない合図です。矯正の広告をクリックしたのに一般的な診療案内のトップページに着地している、といったズレが実際にあります。期待した情報がないので、数秒で戻られてしまいます。

あわせて、予約完了がアクセス解析上で1件も記録されていないケースもあります。これは点検1の計測の話とつながる部分で、広告側とホームページ側の両方を見ないと気づけません。片方だけ見ていると「広告が悪い」「ホームページが悪い」の水掛け論になりがちです。

もうひとつ、このデータは改善のヒントにもなります。よく見られているページを並べると、料金のページが上位に来ることが多いです。つまり、来院を検討している人が来る前に確かめたいのは、まず費用だということ。ここが分かれば、着地ページに料金の目安をどう置くか、相談の流れをどう書いておくかという具体的な打ち手につながります。数字を見る目的は、粗探しではなく、こういう判断材料を得ることかなと思います。

点検4:商圏の外に広告費が出ていないか?

4つ目は、地域です。歯科医院は、通える距離に住んでいるか働いている人にしか来てもらえません。ここが他の業種と大きく違うところで、商圏の外に出た広告費は、原則そのまま戻ってきません。

流出が起きやすいのは、次のようなパターンです。

  • キーワードが広すぎる。「歯科」「歯医者」のような言葉だけで出稿していると、地域指定をかけていても意図しない検索に広く反応します
  • 他院の名前で検索した人に出ている。近隣の医院名で調べている人は、そもそも行き先が決まっていることが多く、クリックされても予約にはつながりにくいです
  • 商圏から離れた地域からの流入。地域設定が広いまま、あるいは「その地域に関心がある人」まで含める設定のまま運用されていることがあります

これらは、検索語句レポートを見れば全部分かります。実際にどんな言葉で検索した人に広告が出たのかが一覧で並ぶので、専門知識がなくても「これはうちに来る人じゃないな」という判断は院長でもできます。むしろ地域の事情を知っている院長のほうが正確に判断できる部分です。

ホームページ側でも似たことが起きます。コラムのような読み物のページに全国からアクセスが集まっていても、通える距離にいる人が全体の1〜2割しかいないなら、そこに広告費をかけても来院にはつながりません。アクセス数そのものは増えるので、報告上は良い数字に見えてしまうところが厄介です。

対処自体は難しくありません。意図しない検索語句や地域は、除外の設定で止められます。設定作業は運用側の仕事なので、院長がやることは「この言葉はうちの患者さんではない」と伝えるところまでで十分です。

点検5:管理画面の数字と、院内の実感は合っているか?

最後は、広告アカウントの外に出ます。管理画面のCV数と、受付が把握している初診の人数を突き合わせる作業です。

やることは地味です。初診の患者さんに来院のきっかけを聞いて記録する。これだけでも、数字の精度はかなり上がります。ネットで見たのか、家族や知人の紹介か、通りがかりか。月に何人が広告経由だったのかが分かれば、レポートのCV数と並べて比べられるようになります。

実際にやってみると、ズレが見つかることがあります。患者さんへのアンケートで認知経路に広告が1件も出てこないのに、管理画面上ではCVが積み上がっている、という状態です。この場合、CVとして数えているものが来院につながる行動ではなかった可能性が高い。ここに気づけるのは院内だけなので、運用会社に任せきりでは見えない部分です。

もう一段精度を上げたいなら、予約専用の電話番号を取得して、受電数と通話時間を追うことをおすすめします。広告に載せる番号を通常の代表番号と分けておけば、広告からの電話だけを切り分けられます。そのうえで、通話時間が3分以上のものを有効な問い合わせとして仕分ける。短い通話は間違い電話や営業の電話、既存患者さんの用件であることが多いので、これを外すだけで「本当に新規の相談だった件数」に近づきます。手間はかかりますが、広告の判断材料としてはここまでやると別物になります。

このあたりの考え方は歯科医院の広告の効果測定にまとめてあるので、突き合わせの仕組みを作るところまで進めたい方はそちらもご覧ください。

いまの広告アカウント、第三者の目で拝見します

現在出稿中の広告とホームページの数字を、運用している会社とは別の立場で確認し、広告費がどこに流れているかをお伝えします。乗り換えありきのご相談である必要はありません。

無料相談してみる

点検のあと、何から直せばいいか?

点検で問題が5つ見つかったとしても、全部を同時に直す必要はありません。順番があります。当社が実際に進めるときは、次の流れで手をつけます。

  • 計測を作り直す。ここが直らないと、あとの判断がすべて当てずっぽうになります。電話タップと予約フォームの完了を、それぞれ別に数えられる状態にします
  • 成果の出ていない配信先を止めて、検索に寄せる。表示だけ増えている配信を整理し、予算を検索広告に回します。総額は変えません
  • 除外設定で商圏外を削る。検索語句レポートを見ながら、来院につながらない言葉と地域を外していきます
  • 着地ページの受け皿を整える。広告で伝えている内容と、着地したページの中身を揃えます。料金の目安と相談までの流れは優先度が高い部分です
  • 90日で初診1人あたりの獲得コストを確定させる。ここまで整えたうえで3か月分の数字を取り、1人の初診を得るのにいくらかかるのかを出します。この数字が出ると、増やすか維持するかの判断が根拠を持ってできるようになります

この順番で大事なのは、広告費の総額を増やすのは最後だということです。まずは同じ予算の中で配分を組み替える。それだけで件数が動くことがあり、動いた分は純粋に費用対効果の改善になります。配分を直さないまま増額すると、効いていない部分にも比例して予算が乗るので、手応えのなさは変わりません。

そのうえで、予算そのものをどう決めるかは歯科医院の広告費の適正額で、インプラントや矯正のような自費診療にいくらまで投資できるかという考え方は自費診療の集患と広告費で書いています。また、直す作業を外部に任せている場合の付き合い方は歯科医院の広告代理店の選び方が参考になるかと思います。

実例:任せ方を立て直した医院で何が変わったか

当社が経営支援に入る歯科医院の多くは、広告をゼロから始めるのではなく、すでに出している広告の立て直しから始まります。「出してはいるが、どう評価すればいいか分からない」という状態からのスタートです。最初にやるのは新しい広告を作ることではなく、この記事に書いた点検と、計測のつくり直しです。

そのひとつ、自由診療専門の歯科医院様では、任せ方の見直しと計測の整備から入り、配分を組み替えていきました。結果として、Web広告経由の新規患者売上が2年間で2.3倍、年間の広告費用対効果(ROAS)は837%まで届いています。あわせて患者さんの治療単価も1年間で1.9倍になりました。広告の出し方だけでなく、来ていただいた方にどの治療を提案するかという院内側の整理も同時に進めた結果です。

この医院の支援内容は支援事例のページで紹介しています。数字だけ見ると派手に映るかもしれませんが、やったことは特別ではありません。何にいくら使い、そこから何人来たのかを見えるようにして、効いている側に寄せていっただけです。

よくある質問

Q. 広告の点検は、院長が自分でもできますか?

運用している会社から管理画面の閲覧権限をもらえば、院長でも見られる項目はあります。まずは権限の共有をお願いし、キャンペーン別の内訳と検索語句レポートの2つを出してもらうところから始めてください。この2つだけでも、どの配信先にいくら使い、どんな言葉で広告が出ているかが見えます。数字を見て判断に迷うようであれば、その段階で第三者に確認してもらうほうが早いかなと思います。

Q. 成果が出ないなら、いったん広告を止めたほうがいいですか?

止めるのは最後の判断にしてください。止めてしまうと比較の材料まで消えてしまい、再開したときに何が良くなったのかが分からなくなります。まず計測を直し、1〜3か月ほど同じ条件で数字を取るほうが、次の判断がしやすくなります。ただし例外はあります。計測がまったくない状態で自動配信型のメニューに大きな予算が入っているなら、その配信だけ先に止める判断はあり得ます。

Q. いまの代理店に点検を頼むと、角が立ちませんか?

レポート項目の依頼という形で伝えれば、普通のやり取りで済むことがほとんどです。キャンペーン別の内訳と検索語句レポートは、運用者が日常的に見ている数字なので、出すこと自体に大きな手間はかかりません。セカンドオピニオンを取ること自体も、珍しいことではないです。他社の運用を批判するためではなく、いまの配分を確かめるためだと伝えれば、話は通りやすいと思います。

まとめ:止めるか続けるかの前に、中身を見る

この記事の要点です。

  • 手応えがないときの最初の一手は、停止でも増額でもなく、いま出ている広告の中身を見ること
  • 点検で見るのは5つ。成果の計測が生きているか、広告費がどの配信先に流れているか、クリックの先のページで何が起きているか、商圏の外に出ていないか、管理画面の数字と院内の実感が合っているか
  • 計測が止まっていると、その期間のクリックは検証しようのない数字として消える。自動配信型のメニューはとくに影響が大きい
  • 直す順番は、計測、配信先の整理、除外設定、着地ページ、90日で初診1人あたりの獲得コストの確定。総額を増やすのは最後
  • 点検は乗り換えのための作業ではなく、いまの配分を確かめるための作業

広告は、止めるか増やすかの二択で考えると判断を誤りやすいです。中身を開けてみると、同じ予算のままできることがまだ残っている。僕が実際に点検させていただく場面でも、そういうケースのほうが多いです。まずはキャンペーン別の内訳と検索語句レポートの2つを手元に取り寄せるところから、始めてみてください。

広告費を増やす前に、配分の組み替えから

SOLXIAは歯科医院の広告運用を自ら行い、外部業者に任せている医院の運用状況の確認も行っています。運用をお受けする場合は、数値・検索語句・キャンペーン構成まで見える化してクライアントに公開する方針です。「いまの出し方でいいのか」という段階のご相談も無料でお受けしています。

無料相談してみる